梅毒はなぜ増えている?感染経路・症状・予防法とドキシPEP

「昔の病気」と思われがちな梅毒は、いま20代を中心に報告が増えています。痛みのない初期症状に気づかないまま広がることも。自分とパートナーを守るための予防の選択肢を知っておきましょう。

梅毒はなぜ増えている?感染経路・症状・予防法とドキシPEP

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梅毒はなぜ増えているの?

日本の梅毒の報告数は2010年代から増え続け、2022年以降は毎年1万3,000人を超える報告が続いています。現在の集計方法になってからの最多水準で、かつての男性同性間の感染だけでなく、異性間の性行為による感染が広がっているのが特徴です。

項目 現在の状況
報告数 2022年以降、年間1万3,000人以上の報告が続いている
感染の広がり方 異性間の性行為による感染が中心になっている
多い年代 男性は20〜50代と幅広く、女性は20代が多い
妊娠中の感染 母子感染による先天梅毒の報告も続いている

増えている理由のひとつは、梅毒の初期症状が痛みのないしこりや発疹で、自然に消えてしまうことです。本人が気づかないまま、ほかの人にうつしてしまうケースが少なくありません。

梅毒の感染経路

梅毒は、主に性行為で、病変部(しこりや発疹)に粘膜や皮膚の小さな傷が触れることでうつります。膣性交だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスでも感染します。

  • 性行為:膣性交・オーラルセックス・アナルセックスのいずれでも感染する
  • 病変部との接触:しこりや発疹に、粘膜や皮膚の傷が直接触れることで感染する
  • 母子感染:妊娠中に感染すると、胎盤を通じて赤ちゃんにうつることがある

キスでも梅毒はうつる?

口の中や唇に梅毒の病変がある場合は、キスでもうつる可能性があります。梅毒のしこりや発疹は、性器だけでなく口や唇にもできることがあるためです。「性行為はしていないから大丈夫」とは言い切れないため、相手の口元に気になる症状があるときは注意してください。

梅毒の主な症状

梅毒の症状は、感染から約1か月後のしこり、約3か月後の全身の発疹と、時期によって変わります。どちらも自然に消えることがありますが、治ったわけではありません。

時期 主な症状 注意点
感染から約1か月後(第1期) 感染した部位(性器・口・肛門など)に、痛みのないしこりやただれができる 痛みがなく、数週間で消えるため見逃しやすい
感染から約3か月後(第2期) 手のひら・足の裏を含む全身の発疹、発熱、リンパ節の腫れなど かゆみが少なく、ほかの皮膚の病気と間違えやすい
症状がない時期(潜伏梅毒) 目立った症状はない 検査をしないと気づけない
数年後(晩期) 心臓・血管・脳・神経などに障害が起こることがある 治療をすれば、ここまで進むことはほとんどない

⚠️症状が消えても、梅毒の菌は体の中に残っています。心当たりがある場合は、症状の有無にかかわらず検査を受けてください。症状の見分け方や病期ごとの詳しい解説は梅毒のページをご覧ください。

梅毒を予防する方法

梅毒の予防には、コンドームの使用、定期的な検査、性行為後のドキシPEPを組み合わせることが有効です。どれか1つで完全に防げるわけではないため、ご自身の状況に合わせて取り入れましょう。

予防法 ポイント
コンドーム 感染のリスクを下げられるが、コンドームで覆われない部分(口や陰部の周り)の病変からはうつることがある
定期的な検査 症状がなくても感染していることがあるため、新しいパートナーができたときや数か月ごとに検査を受ける
ドキシPEP コンドームなしの性行為のあと、72時間以内にドキシサイクリンを1回飲むことで、梅毒などの細菌性の性感染症の予防が期待できる
パートナーと検査 どちらかだけが治療しても、うつし合ってしまう「ピンポン感染」が起こる

ドキシPEPとは

ドキシPEP(ドキシペップ)は、性行為のあとに抗菌薬のドキシサイクリン200mg(100mg錠を2錠)を1回飲み、梅毒・クラミジア・淋病といった細菌性の性感染症を予防する方法です。海外の臨床研究では、ドキシPEPを使うことで梅毒の感染が大きく減ったと報告されており、米国CDC(疾病対策センター)も2024年に使用に関する指針を公表しています。

  • 飲むタイミング:性行為のあとできるだけ早く。遅くとも72時間以内
  • 用量:ドキシサイクリン200mg(100mg錠を2錠)を1回
  • あわせて行うこと:3〜6か月ごとの定期的な性病検査

💡ドキシPEPはすでに感染した梅毒を治す薬ではありません。また、HIVなどウイルスが原因の性感染症は予防できません。飲み方や効果の詳細はドキシPEPとは?効果・副作用・対象の方まで解説とドキシPEPの飲み方で解説しています。

いざというときにすぐ飲めるよう、手元に備えておけます

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梅毒の検査はいつ受ける?

梅毒の血液検査は、感染の心配がある性行為から4週間ほどたつと、感染を確認しやすくなります。それより前の検査で陰性だった場合は、1か月後にもう一度検査を受けると確実です。

  • 性器・口・肛門などに、痛みのないしこりやただれができた
  • 手のひらや足の裏を含む、全身に発疹が出ている
  • パートナーが梅毒と診断された
  • コンドームなしの性行為があり、心当たりがある

当てはまる場合は、症状がなくても検査を受けてください。当院では、ご自宅で採血できる性病検査キットもご用意しています。

梅毒は治る?治療法は?

梅毒は、抗菌薬で治療すれば治る病気です。当院では、ドキシサイクリン(ビブラマイシン錠100mg)を1日2回、28日間飲む方法で、オンライン診療で治療を行っています。

項目 当院の梅毒治療
お薬 ビブラマイシン錠100mg(一般名:ドキシサイクリン)
飲み方 1回1錠を1日2回(朝・夕)、多めの水で28日間
料金 15,000円(税込・診察料と送料込み)
治療中の注意 性行為は控える。直射日光を避け、日焼け止めを使う。自己判断でやめずに最後まで飲みきる
治療後 血液検査(RPRなど)で治療の効果を確認する

梅毒の治療には、ほかにペニシリン系の注射(ベンザチンペニシリン)や飲み薬(アモキシシリン)を使う方法もあり、病期や体の状態によって選ばれます。

⚠️妊娠中の方、神経・目・耳の症状があり神経梅毒などが疑われる方は、当院のオンライン治療の対象外です。対面での診察が受けられる医療機関を受診してください。また、梅毒は治っても免疫ができないため、再びうつることがあります。治療後も定期的な検査を続けましょう。

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妊娠中の方へ

妊娠中に梅毒に感染すると、赤ちゃんにうつり、流産・死産や先天梅毒の原因になることがあります。妊婦健診では梅毒の検査が行われますが、健診と健診の間に感染することもあります。パートナーの感染が分かった場合や心当たりのある性行為があった場合は、次の健診を待たずに、かかりつけの産婦人科にご相談ください。

パートナーについて

梅毒と分かった場合は、症状の有無にかかわらず、パートナーにも検査をすすめてください。どちらかだけが治療しても、またうつし合ってしまうためです。伝え方に迷う場合は、診察時にご相談ください。

適応外使用に関する記載

※以下は、ドキシPEP(性感染症の予防)を目的とした処方についての記載です。

・医薬品について:当院でドキシPEPに処方するビブラマイシン錠100mg(一般名:ドキシサイクリン塩酸塩水和物/製造販売元:ファイザー株式会社)は国内で承認された医薬品です。
・適応外使用であること:日本国内において、性感染症の曝露後予防を目的とした適応は承認されておらず、医師の判断のもと適応外で使用しています。
・諸外国における安全性等に係る情報:海外の臨床研究やガイドラインにおいて、梅毒・クラミジア・淋病を予防する方法として報告されています。一方で、耐性菌の増加などの懸念も指摘されており、医師の管理のもと適切に使用することが重要です。
・医薬品副作用被害救済制度について:承認された用法・効能以外での使用となるため、万が一重篤な副作用が起きた場合、国の医薬品副作用被害救済制度の対象とならない場合があります。

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よくあるご質問

梅毒は最近どのくらい増えていますか?

2010年代から増え続け、2022年以降は毎年1万3,000人を超える報告が続いています。異性間の性行為による感染が中心で、女性では20代の報告が多くなっています。

手のひらに発疹が出ています。梅毒の可能性はありますか?

手のひらや足の裏の発疹は、梅毒の第2期によくみられる症状のひとつです。かゆみが少なく、ほかの皮膚の病気と見分けにくいことがあります。心当たりがある場合は検査を受けてください。

コンドームをしていれば梅毒は防げますか?

リスクを下げることはできますが、完全ではありません。コンドームで覆われない口や陰部の周りに病変がある場合は、そこからうつることがあります。定期的な検査やドキシPEPと組み合わせると、より予防につながります。

ドキシPEPを飲めば梅毒に絶対かかりませんか?

ドキシPEPは感染のリスクを下げる方法で、100%防げるわけではありません。ドキシPEPを使っている方も、3〜6か月ごとに性病検査を受けることがすすめられています。

梅毒は一度治ったら、もうかかりませんか?

いいえ。梅毒は治っても免疫ができないため、再びうつることがあります。治療後も、検査や予防を続けることが大切です。

症状が消えたら治ったと考えていいですか?

いいえ。梅毒の症状は治療をしなくても自然に消えることがありますが、菌は体の中に残り、気づかないうちに進行します。検査を受けて、必要な治療を受けてください。

参考文献

・梅毒診療ガイド(第2版)|日本性感染症学会
・CDC Clinical Guidelines on the Use of Doxycycline Postexposure Prophylaxis for Bacterial Sexually Transmitted Infection Prevention, 2024|CDC

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