膀胱炎の市販薬と治し方|受診の目安

膀胱炎の市販薬と治し方|受診の目安

トイレが近い、排尿のときにしみるように痛む、すっきりしない――こうした症状は膀胱炎のサインかもしれません。膀胱炎は比較的よくみられる病気で、特に女性に起こりやすいことが知られています。この記事では、膀胱炎の症状や原因、市販薬でよいのか、抗菌薬が必要になるケース、日常でできるセルフケア、そして受診の目安について、一般的な情報として中立的に解説します。なお本記事は診断を目的としたものではなく、症状の判断は医療機関で受けることが大切です。

膀胱炎の主な症状

膀胱炎は、膀胱の内側に炎症が起こることで、排尿に関わるさまざまな不快な症状があらわれます。代表的な症状には次のようなものがあります。

  • 頻尿:トイレの回数が増え、行ってもすぐにまた行きたくなる
  • 排尿痛:排尿のとき、特に終わりごろにしみるような痛みを感じる
  • 残尿感:排尿してもすっきりせず、まだ尿が残っている感じがする
  • 尿の濁り:尿が白っぽく濁ったり、においが強くなったりする
  • 血尿:尿に血が混じり、ピンクや赤っぽくなることがある

一般的な膀胱炎(急性膀胱炎)では、発熱を伴わないことが多いとされています。もし38度以上の高い熱や背中・脇腹の痛みを伴う場合は、炎症が腎臓にまで及んでいる可能性があり、注意が必要です。この点はのちほど詳しく触れます。

膀胱炎でお腹が痛いときの痛みの場所

膀胱炎では、排尿にまつわる症状だけでなく、お腹の痛みを感じることがあります。膀胱は下腹部(へその下あたり、恥骨のすぐ上)にある臓器のため、膀胱炎による腹痛は多くの場合、この下腹部の中央付近に感じられます。「シクシクとした鈍い痛み」「張るような重い感じ」「排尿の前後に強くなる痛み」など、感じ方はさまざまです。

痛む場所は、原因や状態を考えるうえでの手がかりの一つになります。おおまかな目安として、次のように整理できます。

  • 下腹部(恥骨の上あたり)の痛み:膀胱の炎症に伴ってみられることが多い場所です。
  • 背中や脇腹の痛み:膀胱ではなく腎臓の位置にあたり、炎症が腎臓に及んだサインの可能性があります。発熱を伴うときは特に注意が必要です。

ただし、下腹部の痛みは膀胱炎以外の原因でも起こります。痛みが強い、だんだんひどくなる、発熱を伴うといった場合は、自己判断で市販薬を続けるのではなく、医療機関で相談してください。本記事は診断を目的としたものではありません。

膀胱炎の主な原因

膀胱炎の多くは、細菌が尿道を通じて膀胱に入り込み、増殖して炎症を起こすことで生じます。原因菌としては大腸菌などが多いとされています。特に女性は、男性に比べて尿道が短く、肛門との距離も近いため、細菌が膀胱に届きやすい体の構造をしていることが、女性に多い理由の一つと考えられています。

また、細菌の侵入や増殖を後押しする、次のような生活上の要因もあります。

  • 排尿の我慢:長時間トイレを我慢すると、膀胱内に尿がとどまり細菌が増えやすくなる
  • 冷え:体が冷えると血流や抵抗力が落ち、炎症が起こりやすくなるとされる
  • 水分不足:尿量が減ると、細菌が洗い流されにくくなる
  • 疲れ・睡眠不足・ストレス:体の抵抗力が低下しやすくなる
  • 陰部の清潔が保ちにくい状況:性交渉の後や生理時など

市販薬でよい?自然に治る?

膀胱炎について「市販薬でなんとかなるのか」「放っておけば自然に治るのか」と迷う方は少なくありません。まず、軽い症状であれば水分をしっかりとるなどのセルフケアで症状が和らぐこともあります。一方で、細菌感染が原因の場合は、自然に治りきらず症状がぶり返したり、悪化したりすることもあります。

ドラッグストアには、膀胱炎に用いられる市販薬として、生薬などを配合し排尿の不快感を和らげることを目的とした製品があります。これらは症状の緩和を助ける役割が期待される一方で、細菌そのものを退治する抗菌薬(抗生物質)とは働きが異なります。市販薬の役割と限界を整理すると、次のようになります。

項目 市販薬(生薬・漢方など) 抗菌薬(医療機関で処方)
主な目的 排尿痛や頻尿など症状の緩和を助ける 原因となる細菌への対処
入手方法 ドラッグストアなどで購入できる 医師の診察・処方が必要
向いている場面 ごく軽い症状のとき 細菌感染が疑われる・症状が強いとき

市販薬を数日使っても改善しない、あるいは症状が強い場合は、市販薬だけで様子を見続けず、医療機関で相談することが大切です。市販薬はあくまで一時的なセルフケアの選択肢の一つと考えておくとよいでしょう。

膀胱炎と漢方薬について

膀胱炎のセルフケアの選択肢として、漢方薬に関心をもつ方もいます。排尿トラブルに用いられる漢方薬としては、五淋散(ごりんさん)猪苓湯(ちょれいとう)などが一般的に知られており、ドラッグストアで市販薬として手に入るものもあります。これらは排尿時の痛みや残尿感といった不快な症状の緩和を目的として用いられることがあります。

ただし、注意しておきたい点があります。漢方薬は、細菌そのものを退治する抗菌薬(抗生物質)とは働きが異なります。細菌感染が原因の膀胱炎そのものを根本的に治すことを目的とした薬ではなく、あくまで症状をやわらげる補助的な役割にとどまると考えておくとよいでしょう。

漢方薬(一例) 一般的に用いられる場面
五淋散(ごりんさん) 排尿時の痛みや残尿感など、排尿の不快感がある場合
猪苓湯(ちょれいとう) 排尿痛や尿量の減少、残尿感などがある場合

漢方薬にも体質との相性や、まれに副作用が生じる可能性があります。持病がある方や、ほかの薬を飲んでいる方は、購入時に薬剤師へ相談すると安心です。漢方薬を数日使っても症状が改善しない場合や、症状が強いときは、漢方薬だけで様子を見続けず、医療機関で相談することが大切です。本記事は特定の製品や治療を推奨するものではありません。

抗菌薬が必要になるケース

細菌感染による膀胱炎では、医療機関で尿検査などを行ったうえで、抗菌薬が処方されることがあります。次のような場合には、市販薬での対応にとどめず、医療機関の受診を検討しましょう。

  • 市販薬やセルフケアで数日たっても症状が改善しない
  • 排尿痛や頻尿などの症状が強く、日常生活に支障がある
  • 膀胱炎をくり返している
  • 血尿がみられる
  • 発熱や背中・脇腹の痛みを伴う
  • 妊娠中である、持病がある、高齢であるなど、重症化のリスクが気になる

抗菌薬は医師の判断のもとで使う薬です。自己判断で過去にもらった薬を使ったり、途中でやめたりすると、十分な効果が得られなかったり、細菌が薬に抵抗力をもつ原因になったりすることがあります。処方された場合は、指示された用法・用量を守ることが大切です。

膀胱炎の抗生物質は市販薬として買えるの?

「膀胱炎に効く抗生物質を市販薬で買いたい」「すぐ効く薬がほしい」と考える方もいますが、ここは正確に知っておきたい大切なポイントです。細菌に対して用いる抗菌薬(抗生物質)は、日本では医師の処方が必要な医療用医薬品であり、ドラッグストアなどで市販薬として購入することはできません。市販されている膀胱炎向けの薬は、生薬や漢方などを配合し、排尿の不快感の緩和を目的としたものが中心です。

そのため、細菌感染が原因の膀胱炎に対して「すぐに効く」ことを期待して市販薬だけに頼り続けると、かえって改善が遅れたり、症状がぶり返したりすることがあります。原因菌に応じた抗菌薬が必要な場合は、医療機関を受診し、尿検査などをふまえて処方を受けることが、結果として早い改善につながることも少なくありません。

また、過去に処方された抗菌薬の残りを自己判断で使うことは避けましょう。今回の症状の原因や必要な薬が同じとは限らず、中途半端な使い方は細菌が薬に抵抗力をもつ一因にもなり得ます。市販薬は一時的なセルフケアの選択肢と考え、改善しないときは受診を検討してください。

日常でできるセルフケア

膀胱炎の予防や、症状があるときの体への負担を減らすために、日常生活で心がけたいことがあります。ただし、これらはあくまで補助的なもので、症状が続く場合の受診に代わるものではありません。

  • 水分をこまめにとる:尿量を保ち、膀胱内の細菌を洗い流しやすくする
  • 排尿を我慢しない:尿意を感じたら早めにトイレへ行く
  • 体を冷やさない:下腹部や足元を保温し、冷えを避ける
  • 陰部を清潔に保つ:排便後は前から後ろへ拭く、通気性のよい下着を選ぶ
  • 休息をとる:睡眠と休養を十分にとり、疲れをためない

膀胱炎の痛みがつらいときの応急的な対応

受診までのあいだ、排尿時の痛みや下腹部の痛みがつらいときには、応急的なセルフケアで負担をやわらげられることがあります。ただし、これらは痛みを一時的におさえるための対応であり、膀胱炎の原因そのものを治すものではない点をおさえておきましょう。

  • 水分をとる:尿量を保ち、膀胱内の細菌が洗い流されやすい状態を助けます。
  • 下腹部を温める:冷えを避け、下腹部を温めると痛みや不快感がやわらぐ場合があります。
  • 市販の痛み止め:一般的な解熱鎮痛薬(市販の痛み止め)で痛みが軽くなることもあります。使用にあたっては、持病や飲み合わせもあるため、購入時に薬剤師に相談し、用法・用量を守ってください。

痛み止めで痛みが治まっても、細菌感染が原因の場合は炎症自体が続いていることがあります。症状が改善しない、くり返す、発熱や血尿を伴うといったときは、応急対応にとどめず医療機関を受診しましょう。

放置のリスクと受診の目安

膀胱炎を放置したり、適切なケアがされないまま経過したりすると、炎症が尿管を通じて腎臓にまで広がり、腎盂腎炎(じんうじんえん)という、より重い病気に進むことがあります。腎盂腎炎になると、高い熱や背中・脇腹の強い痛み、吐き気などがあらわれることがあり、入院が必要になる場合もあります。

次のような重症化のサインがみられるときは、早めに医療機関を受診してください。

  • 38度以上の発熱がある
  • 背中や脇腹の痛みがある
  • 目に見える血尿がある
  • 吐き気や強い倦怠感を伴う

受診先としては、内科や泌尿器科が一般的です。女性の場合は婦人科でも相談できます。症状が軽くても、市販薬で改善しない・くり返すといったときは、自己判断で様子を見続けず、お近くの医療機関で相談すると安心です。

膀胱炎で血尿が出るのはなぜ?出血性膀胱炎について

膀胱炎で尿に血が混じり、ピンクや赤っぽくなることがあります。「膀胱炎で血尿が出るのはなぜか」と不安に思う方も多いですが、これは膀胱の内側の粘膜が炎症で傷つき、そこから少量の出血が起こるために生じると考えられています。目に見えるほどの血尿を伴うものは出血性膀胱炎と呼ばれることがあります。

出血性膀胱炎は、細菌感染のほか、一部のウイルス感染、薬剤や治療の影響などが背景となる場合もあります。原因によって対応が異なるため、血尿の「治し方」を自己判断で決めるのは適切ではありません。

血尿がみられるときに知っておきたいことを整理します。

  • 目に見える血尿があるときは、原因を確かめるためにも医療機関の受診が基本です。
  • 水分をとることは膀胱への負担を減らす助けになりますが、それだけで血尿の原因が解決するわけではありません。
  • 発熱や強い痛みを伴う血尿、血のかたまりが混じる、尿が出にくいといったときは、早めに受診してください。

血尿は膀胱炎以外の病気が背景にあることもあります。市販薬で様子を見続けず、内科・泌尿器科などで検査を受けることが安心につながります。

よくあるご質問

膀胱炎は市販薬だけで治せますか?
ごく軽い症状であれば市販薬やセルフケアで和らぐこともありますが、細菌感染が原因の場合は市販薬だけで治りきらないこともあります。数日たっても改善しない・症状が強いときは、お近くの医療機関で相談してください。
膀胱炎は自然に治りますか?
軽い症状が自然に落ち着くこともありますが、原因や体調によっては悪化したりくり返したりすることがあります。改善しないときや症状が強いときは、放置せず受診しましょう。
発熱や背中の痛みがあるときはどうすればよいですか?
発熱や背中・脇腹の痛みは、炎症が腎臓に及んだ腎盂腎炎などのサインである可能性があります。重症化することもあるため、早めに内科・泌尿器科などお近くの医療機関を受診してください。
膀胱炎をくり返さないために気をつけることはありますか?
水分をこまめにとる、排尿を我慢しない、体を冷やさない、陰部を清潔に保つ、休息をとるといった生活の工夫が役立つとされています。くり返す場合は一度医療機関で相談するとよいでしょう。

膀胱炎と尿道炎の違い・尿道炎は性病以外でも起こる?

排尿時の痛みを起こす似た病気に尿道炎があります。膀胱炎が膀胱の内側の炎症であるのに対し、尿道炎は尿の通り道である尿道に炎症が起こった状態です。症状が重なることもあり、自分では見分けにくい場合があります。

尿道炎というと性感染症(性病)を思い浮かべる方もいますが、尿道炎は性病以外の原因でも起こり得ます。たとえば、性感染症以外の一般的な細菌の関与、尿道への物理的な刺激、体の状態によるものなどが背景になることがあります。原因によって必要な対応が異なるため、症状だけで原因を決めつけないことが大切です。

膀胱炎・尿道炎が疑われるときの検査

医療機関では、膀胱炎や尿道炎が疑われる場合に、次のような検査が行われることがあります。どのような検査を行うかは、症状や状況に応じて医師が判断します。

  • 尿検査:尿に含まれる白血球や細菌、血液の有無などを調べ、炎症や感染の様子を確認します。
  • 尿培養検査:原因となる細菌の種類や、どの抗菌薬が効きやすいかを調べることがあります。
  • 問診・そのほかの検査:症状の経過やくり返しの有無などをふまえ、必要に応じて追加の検査が検討されます。

排尿時の痛みが続く、くり返す、原因がはっきりしないといったときは、自己判断せず、内科・泌尿器科(女性は婦人科でも可)などお近くの医療機関で相談してください。

改善しない・くり返す膀胱炎は、お近くの医療機関へ

本記事は一般的な情報提供です。市販薬で数日たっても改善しない・くり返す・高熱や背中の痛み・血尿があるときは、内科・泌尿器科(女性は婦人科でも可)などお近くの医療機関を受診してください。腎盂腎炎など重症化のサインがあるときは早めに。

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